東野圭吾の考読学

東野圭吾ファンの筒美が、東野作品の感想やそれについて考えたことなどを綴ります。現在は、それ以外の作家さんのことや作家さんが書いた本などについても書いています。

『ちゃれんじ?』

 『 ちゃれんじ?』 (角川文庫)は、東野圭吾が書いたにしては分量が少なくて、250ページくらいの本で、小説ではなくエッセイが中心である。
 舞台となっている地域は、主に東京から行かれる新潟県山形県などのゲレンデのある場所で、時代は現代。
 「小説「おっさんスノーボーダー」」と「おっさんスノーボーダー殺人事件」という短編小説も収録されているが、大方、編集者と一緒にゲレンデにスノーボードをしに行った時の様子などを描いた肩のこらない、気楽に読めるエッセイである。スノーボード以外ではカーリングにチャレンジして大けがした話とか阪神優勝の話題なども出てくる。短編小説2つを除けば、すべて実話らしく、ところどころに写真が出ている。
 東野圭吾は、ゲレンデを舞台にした小説をいろいろと書いているので、「自分でもスノーボードが好きでよくゲレンデに行くから楽しみながら取材が出来てしまうのだな」と納得した。
 全体的にユーモラスな雰囲気のお笑い系の本だが、「結局のところ、飽きるとは挫折なのだ」とか「スポーツとの出会いは人との出会いでもあるな、と改めて思った」等、ところどころ東野圭吾らしい名言が出てくる。
 スノーボードについて、「私を夢中にさせているのは、上達、ということだと思う」と書いてあり、これが作者の一番言いたかったことなのかなと思った。
 東野圭吾は、『白夜行』『容疑者Xの献身』など重厚・シリアスなミステリーのヒット作が多く、こうしたユーモラスな短編集でしかも小説ではなくエッセイというのは比較的珍しいが、こうしたものにも妙味がある。